【プリパブ】 NYデザイナー近藤さんに紙とか印刷の事を聞きました


プリパブには、なんと、アメリカはNYでデザイナーさんをされている、近藤さんという方がいらっしゃいまして、そういえば、アメリカのデザインの事情って、知らねーなあと気付いたものもあって、忙しい所、無理をお願いして色々と質問を投げたところ!(会員の皆様、その節はありがとうございました!)めちゃんこ激アツな内容にて返信いただけました。個人的な感想として、国内に居ると、ついつい、印刷、加工、紙について、鎖国的な状態になっちゃって、外に出そうと必死になっちゃう感じなのと、たかだか日本の事情だけで見ると、技術スゲー!て事に落ち着く訳ですが、おいおい、日本人よ軸はそこじゃねーだろ的なのが、少しだけ、垣間見れたような気がします。ではでは、どどーっと、ノー編集で、是非お読みください!
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質問その1:近藤さんってどんな人?
NO.00010:近藤草生<グラフィックデザイナー> http://monocomplex.net/

近藤さん「ざっと簡単にこちらでの経緯を書きますと、アメリカはミネソタ州の州立大学でグラフィックデザインを勉強し、VI/brandingのスタジオのインターンを経てNYに渡りました。その後アート書籍のエディトリアルを主に扱うデザインスタジオを経て、現在のオーディオ・iOSデバイスを扱う弱小メーカーのインハウスデザイナーになって2年強、といったところです。主にパッケージデザイン、時に広告、時にブランディングと、まぁそのメーカーのビジュアルに関するデザイン部門のシニアデザイナーをしています。パッケージングは予算や構造の制約が多い分、実はエンジニア的な部分(いかに市場に並ぶパッケージとして成り立たせるか)といった部分が面白いなーと思っていたりします。
またフリーランスとしてのチーム、monocomplex(と言っても実質チームとしての仕事自体はメンバー二人で回していますが)で、主にWebデザインを手がけています。こちらは個人のつながりからの依頼を受けてスタートしたもので、小規模のクライアントが多い為必然的に小バジェットな案件が多くなり、需要の多いWebがメインになっています。個人的には紙媒体をメインにシフトしていきたいんですけど、まぁ今は地盤作りといった段階だと捉えています。
フリーランスの仕事用に他の日本人のクリエイターとスタジオシェアをしているんですが、そこでなにか新しい実験的なこと、DIYなクリエーション、楽しいデザインができないかなぁと考えていたり…しかしなかなか形にならず。。。諸事情により今年いっぱいでそこのスタジオスペースを出ることになるのですが、企画自体は続けていければなぁと考えています。
monocomplexは、メディアサイトを作ってみようというところからスタートしていて、一応そのサイトの運営もやっています(いました?w)。スタート当初にはプロとして活動しているメンバーがほとんどいなくて、周りを見渡せばそこはNY。クリエイターの卵達、自分と似たような境遇の、ここで成功してやろうと掻く同志達が山のようにいて、そういう普段は見ることの出来ない生のNYを、モノづくりに飢える自分たちと同じような境遇の人たちにインタビューを通して見せられないかなと思って続けていました。
現在は残念ながら、メンバー各々の活動が忙しくなり、開店休業状態…。更新が滞りまくっているのでお恥ずかしくてお見せ出来ないようなものです。メンバーがちょっと成長して化けることができたら、その時にまたリスタートしたいと考えていますが、まぁ時間があいたらまた地味に更新して行きたいなと思っています。」

阪口「スゲー!ずっとアメリカなんですね!なんかやっぱズキュンとくるのは『スタート当初にはプロとして活動しているメンバーがほとんどいなくて』この部分です。日本じゃまず考えられないですもん。ここに何か、日本とアメリカの違いがあるような気がします。」

質問その2:どんな特殊紙が人気?

近藤さん「特殊紙は、現在のマスプロダクトのパッケージデザインという分野柄触れる機会が減ってしまったのですが、アメリカ産特殊紙というのは特に馴染みがないように思います。市場で見たことがあるものに関しては主にヨーロッパからの輸入品が多い気がします。 Stone Paper (石から出来た、硬い質感のあるエコ紙。ピーチコート〔でしたっけ?あの熱圧加工するとプラスチックのような質感になるあれです)に似た感じの手触りです)、FiberMarkの Touche(プライクのようなヌメっとした質感。フレグランスのパッケージングやブティックのブランドタグに使われているのを見たことがあります)。ユポ系の紙やキュリアスのようなメタリックな紙も見かけますね。ですがアメリカ産か、と言われればおそらく違うと思います。勉強不足で申し訳ありません。。。
個人的な印象としては、アメリカ産で有名どころの Neenah paperやMohawkなどはリネンテクスチャーの入ったものやコラムテクスチャーのあるものが多いようです。French Paperはグラフィカルなパターンが押された紙などを扱っていたり。
実は僕が学生時代にいたミネソタ州は、水が綺麗で製紙メーカーが多いのですが(Neenahもそう)、クオリティーの高いファインペーパーがメインで特殊紙はあまり触れる機会がありませんでした。クオリティーは高いですが、値段も高いですww 特殊紙ほどではないでしょうが。。特殊紙に関しては、日本が圧倒的という気がしますね。。。だからちょっと日本に帰ってやってみたいという気もしています。」

阪口「是非、帰ってきてくださいw(こらこら。印象的に、特殊紙ってのは日本特有のものに思えてきました。ファインペーパーの質の違いみたいなのがポイントなのかなと感じたりしました。」


質問その3:日本の紙って使われてるの?

近藤さん「これは僕も気になるところですねーww 以前にいたエディトリアルの会社は社長が日本人だったこともあって日本の紙も使っていましたが、そういう場合はアメリカで流通する書籍であっても印刷・加工は日本であったりで、紙そのものの輸入に関しては把握できていないです。。。サテン金藤などコート紙をアクセントで使ったりしていたと思います。ですがやはり、紙問屋や印刷所に問い合わせてみないと分からないですね。でもおっしゃるように、和紙系の紙はおそらく日本からの輸入なんじゃないかなぁ。。。これは少し調べてみようと思います。こちらのプリンターでも扱ってくれるならそれはこの上なく嬉しいですし、手が増えますね!竹尾さん平和紙業さんぜひ頑張ってください!w」

阪口「ホントこれ知りたいです。この感覚って、竹尾さん、平和紙業さんに聞いた感じと一緒ですねwなんか日本はやっぱ鎖国状態?なにやら、紙の代理店ていう発想も特殊紙などの紙の種類が多い日本独特の状態みたいだし、そういう意味でも、海外でごっつ勝負出来そうですよね。竹尾さん、平和紙業さん頑張ってーw」


質問その4:特殊加工とかってどんなものが流行してるの?

近藤さん「これはおそらく特殊紙との絡みもあると思うんですが、アメリカでは伝統的なLetterpressがめちゃくちゃ幅を効かせてると思います。つまり紙も正統派、加工も正統派、というような。
Letterpressを扱う小さな街の印刷所(NYの話ですが)、個人で小さいレタープレス機を持って フリーランスでプレスを扱っている方までいます(ちなみにこちら、日本人です。この方とちょっと絡んでみたいと思ってますw)。デザインの主流も、結構アメリカンクラシックというか、なんと言えばいいんでしょう。古き良きアメリカを彷彿とさせるようなデザインが横行したりしますし(言い方悪いですが僕は好きですw)。
あとデザイン誌で見かける多段のエンボスにバーコだったり、細かいレーザーカットだったり、細かく見れば多様ですね。一般的にはレタープレス、Spot UV、箔押し(主にメタリック)あたりは広く認知されていると思いますし、製本では開きと逆側が綴じたままとか、断裁なしだったり面白いものがあったり。。。という感じですかね。」

阪口「実は個人的に、その状況というのは羨ましかったり!逆に日本はジャパンクラシックみたいなものが無いだけに、色々と定着感が無い感じがします。」


質問その5:アメリカで活躍してるスゲーデザイナー
阪口「これは僕が知りたいなと思いました。会員さんとの間でもこれ案外誰も知らないって事になりまして、今をときめく紙媒体のデザイナーでもいいですし、近藤さんの存じられている、こいつスゲーぜ!ってのも聞きたいです(その方のホームページなどあれば是非!」

近藤さん「これについてはNYに戻ってから改めて、ということで。すいません、記憶力が悪いもので名前とか覚えられないんですよね…wただアメリカのデザインマーケットで注目されてるってことは世界レベルですげー、ってことになると思うので、アメリカ人であるとかアメリカで活躍してる、っていう括りにはならないかもしれないです。悪しからず… 今一人思いつく人で、もともとNYベースで活動されていたのが川村マサシさんですね。http://masa-ka.com/
現在はPARTY (http://prty.jp/) として活動されていて、国内外のメディアから注目れていますしご存知の方も多いかもしれないですね。一度お会いしてお食事をご一緒したことがあるんですがめちゃくちゃ気さくな方で、本当に常にデザインのことを考えてるという印象でした。今はビデオ/インタラクティブのクリエイティブディレクターという感じですが、そもそものデザインの発想が飛び抜けてるなぁと思います。尊敬してます。頭の中覗いてみたいです。アイディアの源泉がなんなのか。w いずれmonocomplexでインタビューさせていただきたいです。
あとNYで活躍する日本人デザイナーとしてはstudio new workの方々 (http://studionewwork.com/)。たしかメンバーの二人がFIT出身の日本人です。一人にお会いしたんですが、やはりデザインに対する姿勢が厳しくてすごいです。コンセプチュアルでミニマルで、どちらかというとスカンジナビアンなデザインが多いですが、NYのコンテンポラリーアートシーンの影響も感じます。リョウタツさんという方は僕の中ではもはや伝説で(笑)、NYに来たばかりの時にお世話になった先輩の先輩でして、話によるとすべてのプロジェクトでフォントを自作しているという、作り込みの姿勢がとんでもない人らしいです。その話を聞いてから、ある分野に特化する、ということの重要性を改めて考えさせられました。newworkは雑誌も刊行していて、普通に書店で見かけるレベルの流通をしていて、しかもデザインのクオリティーは高く、ほんとうに憧れます。印刷、紙のクオリティーはおいといてww。予算の都合があるでしょうからね。追いつきたいです。
アメリカ全体を見て、所縁のない人でこいつはいいなあ、と思うデザイナーに関してはまた後ほどお送りします。」

阪口「いいないいなあ、やっぱアメリカだなあ。実は今、日本で好きなデザイナーって、あんま居ないんですよねえ。この方向で僕も調べてみたいと思います。にしても、studio new workかなり気になります!続報に期待!」

質問その6:アメリカでの本に対する美意識について。
手製本をされている会員さんからの質問なんですが、まずは以下転載→
「アメリカでの本に対する美意識というか、デザイン、印刷、製本も含め、
知的財産、文化物としての本作り、出版に関してどんな市場なのかな、
というのが気になるので、もし盛り込めたら聞いて頂けますか。
アメリカってなんとなくペーパーブックのイメージが強くて
(ペンギンブックスはイギリスだから完全に偏見だとは思うのですが)、
アマゾンの台頭もあるし、あまり紙に固執してない感じがするので、
誤解があれば解いて頂きたいなと思う次第です。」
たしかに、日本とアメリカで、本に限らず紙媒体への意識というのは違いがあるような気がします。
そこらへんてどうなんでしょうか。

近藤さん「確かにペーパーバックの本が多いイメージはあるかもしれませんねw 実際、読み物系の多くはペーパーバックで装丁も似通ったものが多く、つまらないものが多いです。日本の文庫本より紙のクオリティー落ちますしね。辛うじて表紙にエンボス加工をしてお茶を濁すですとかwさらにはe-pubの台頭もあります。日本よりもe-pub、電子リーダーの普及は進んでいますし、電車の中で紙の本を開いている人よりも、kindleを片手に持っている人の方が圧倒的に多い気がします。
が、しかし。僕はアメリカでの紙の本に対する意識は日本よりも高いと思います。手軽に読む本と、モノとしての本の住み分けがスムーズに行われている気がします。特にNYでは(というかnyの市場しか知らないのですが)アートが盛んなこともありアート書籍をよく見るんですが、非常に凝った作りのものが多いですよ。限定数のスペシャルエディションがあったりとか…コレクションをする、本を愛でる、という意識が高いと言いますか、紙の書籍というものに対する愛は、日本に引けを取らないんじゃ無いでしょうか。特殊加工を一番見るのもこの分野ですし、手製本に関して言えば、特定の書店ですがセルフパブリッシュのコーナーが設けてあったりします。特殊な本、少数生産の本ばかりを揃えた本屋さんもありますし(printed matterというところで、児玉さんも行ったと仰ってましたw)、MoMAの別館、PS1ではArt Book Fairというアート書籍のみを扱った、世界中の出版社が出展するフェアーもあったりします。垂涎ものの本が所狭しと並んでいて圧巻です。予算が許す限り買い物したくなっちゃいますよ!!本当に楽しいです。デザイナーとして、というより紙媒体のファンとしてですが、アメリカのアート書籍マーケットはすごいと思います。アートに対しての意識が高い、ということが要因だと思います。アートが身近で興味を持ちやすく、一般に対してすごく開いているので無名アーティストのセルフパブリッシング本がマーケットにごく普通にあり、コレクトする楽しみを知っているのでモノとしての本、アートブックというアートを受け入れやすい土壌であると。そういう文化的背景があると思いますね。もしかしたら、NYだから感じることなのかもしれないですけどね。そして僕の視野が、そっちの方に傾いているから感じるのかもしれないですが…w。例えばアートミュージアムに行ったら、デザイン、印刷、加工、製本、もうこだわりの本だらけです。 その会員さんにも、NYのマーケットは、手製本も出しやすいという器の広さがあるとお伝えください。w」

阪口「アートが身近にあって、意識が高いっていうのは、凄く重要ですね!日本は、この点、アートにはお金出さない(特に現代作家、無名な作家に対して)ので、なんか温度差というか、印刷物の在り方にもかなり影響があるように感じています。僕もアメリカに行こうかなー。」

近藤さん「長くなってしまいました…。こんな感じで大丈夫でしょうか…?
またNYに戻ったら、質問5に関してお送りします!!」

阪口「近藤さんバッチリです!骨太の解答ありがとうございました。もっとアメリカの事情について知りたい!という気持ちになりましたし、知りたい方向がかなり具体的になったような気がします。もっと世界の事知らなきゃなー(質問5に関しても、続報お待ちしています!」

---------------------------------------------------------------- そういえば、先日、会員の小玉さんがNYにデザイン武者修行に行かれた際に、近藤さんにお会いした&色々とアメリカの資料を持ち帰ったとの事で、来月にでも小玉さんに会って、その時のお話や、色々とお聞きしたいなあと考えています。そこらへんも、プリパブでご報告出来たらと思います。近藤さん!今回はお忙しい中、激アツな内容をありがとうございました!

2012.09.27 Thursday | 2012年9月 | 23:15 | comments(0) | trackbacks(0) |



designeast03

せっかく、3日の内、2日も行ったのだから、この熱が冷める前に書き残しておきたいと思います。「腑に落ちない」が素直な感想です。全体を通して何かが「腑に落ちない」感じがしたんですよね。大阪で、しかもeastと名前を付けて、たくさんのデザインに従事しているであろう人達を集めて、何をしようとしたのかが不透明だったような気がしたのです。デザインという名の暴力を奮うのを全力で醸し出していたというか。もちろん、これが、そういう事をする機会である事には間違いないのですし、評価されて、役に立っている、人達が喋っていて、それを、ディスカッションしていて、たまたま、ある方向に話しが寄っていたという事なのだけど、このdesigneastに来ていた、何百、何千の人達は、どう感じたのだろう。少なくとも、トークを聞いていた人達の中で、熱心にメモやノートパソコンに打ち込んでいた人は目に付いた訳で。もしかしたら、デザインというものが、そういう方向に行く訳で。ただ、何かが無視されているというか、やはり「腑に落ちない」というのが確実に存在しているような気がします。デザインの現在というものを、時代に合わせて、取りまとめたり、1つの方向を見出すヒントとすれば、聞こえは良いのですが、単純に、お洒落なものが陳列されていたようにも見えなくもなかったのだよね。ホントに色々なものを無視していたなあ。単にナガオカケンメイ的で、服部 滋樹的な、デザイン押し出し的なあれに当てられちゃったのだよな。ウマクやってるように見えて、なんかそうじゃない感というか、なんか素直で真面目だなあって思いました。真面目にデザインにやったら、こうなるし、それに憧れている人達の波に攫われちゃったみたいな人種を量産する工場としては、ホントウマく成立しているように思います。デザインでもって、色々と無視しちゃってて、僕みたいな古臭い人種には凄く居づらい場所だなと、割り切れない何かが凄くありました。あ、でも、シアタープロダクツの展示は最強に良かった、ワークショップ含めて。こいつらだけは別格だな。ちゃんと考えてて良い。designeastをどう見るかというよりも、本当に、この方向にデザインは逝ってしまうのか、もしくは、その一旦でもあるのは、いささか恐怖でした。なんというか、こんなんデザインちゃうわ!とかじゃなくて、デザインという暴力に生活を脅かされてしまうような感覚を、僕はdesigneastで全力で味わいました。全体的に気色が悪い。デザインに対して、もっと冷静になりたいと思ったし、そないに、何がなんでもデザインせんでもwって思いました。いや、分かるんですよ、その思考の仕方は、便利だし、都合が合うんですよね。分かるんです。でも、そないに覚えたての子みたいにせんでもよろしいがなみたいな。謎の分離感とも言うような。1つ、たしかに分かった事は、もし、こういうのが肯定的で、意志として正しいと感じている人達の中では、やっとれんし、付き合ってられんというのは、よーく分かりました。僕は僕の最先端をするし、てめーらが、そうくるなら、しとけばいいし、結局、まだまだ孤独に旅する事になるというのが、明確になったなあ。ますます、違う方向行ってんだなオレ。あそこには交ざれんわ。アカンわー。
2012.09.18 Tuesday | 2012年9月 | 00:22 | comments(0) | trackbacks(0) |